都市と住居をつなげてみる

牟礼
MURE.gif

不穏な空。大地に参加する墓。崩れないように積み重なる石。奥へのびる道。浅い家型の家々。粒の細かい土色。車。それらがまとまった三色に見えるボーダーの構図の写真。感性の露出していないblogへの警鐘が届かない昨今。徹底抗戦するか。大川先生が最近、象の富田玲子さんの家に行かれたらしい。なんとM1住まい。藤森邸は、すでにないと聞いていたのでぜひ見てみたい。富田邸を見て、ここまでと言わしめるまで使いこなしている。という話を聞くと、ぽ建築は、M1が持つ構造と比べて、大げさな視座の上に立とうとしていない。建築という技術を世の中で使えるところにあてがっていこう。建築という規模を裁量する中に見いだす感性をあてがっていこう。という、ところなのだろうか。否定的に書いているが、どちらかというと教祖的なシンボル性が気になって書いている。稲垣栄三の朝日新聞に載っているコラムに、座敷の喪失は手作りの創造的な儀礼や祝賀の機会を住居から奪い、住居における祝祭と呼応した高揚が、リズムとなって都市の祝祭的な賑わいに繋がっていたと指摘している。おもしろい。建築と言うまでも住居に対する愛着行為が、住まいの中のヒエラルキーを伴う中で、座敷に物を置かないドメスティックランドスケープをつくりだしていた。そのコラムの始めに、「近頃の平均的な都市住宅は、居間 食堂 台所を中心として、六畳程度の広さをもつ個室がいくつか付属するという形にほぼ定着したかのように見える(〜)ひとまず快適な生活を送る条件が整う。その上で多くの家庭用電化製品、家具そのほかさまざまのモノが配置され、部屋の機能と利便性が一層明快に発揮される。住居におけるモノの氾濫は最近の住居で無視できない傾向であって、生活空間は建築によって与えられるよりモノの種類と配置によって決定されているといっても過言ではあるまい」と書いている。どこかで聞いたことあるフレーズだが、煮え切らないユニオンのコンペ案を見ながら、んー。機能的な欲求から生まれたものを整理することよりも、かつての住居が持つ祝祭性を壊したような、社会の大きな枠組みを変えられる提案が出来ないかと思ってしまう。今、M1のような箱の家をつくっても、モダンなように見えるモノがいいとされている風潮にのってしまうだけで、室内風景は良くならないし、案を見ていると室内風景をつくることが前倒しで、住んでみたいというのとは話が違う。元倉さんのを見ると象徴的にはめているだけ話が違う、コストも高い。愛着があれば→モノが整理されるという単純な図式でもないし。空間を作り込んでいく→愛着を持つというのも、建築の規模を規定してしまう気がする。課題で、創造的な手作りの祝祭性が取り扱える規模の建築を提案したいのかもしれない。都市と住居の空間を繋げて考えるのは楽しい。

建築 | at December 7, 2004 17:30


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Comments

相変わらず個人的な情報が、個人的な文脈で並べられているため、外部の人にとってはコミュニケーションを拒否されているかのように思える文章。simonの中では連続しているのかもしれないが、他人が読み進めると話題が平気でジャンプするため、しかも、改行がない文章も手伝って、内容が追いにくい。
それはともかく、富田玲子氏がM1住まいというのは、初めて知ったが、なんとも興味深い。ご存じ富田氏は、象設計集団の代表者の1人でもあるのだが、ケヴィン・リンチの『都市のイメージ』を丹下健三氏と共訳していたり、夫である林泰義氏と『起爆空間』という住宅を設計したりしている。つまり、もう少し多面性を持っているはずの建築家が、実作者として選んだ道が象であったと考えることができる。そういう意味で、生活者としてM1を選んだことは十分に想像できる。
しかし、不思議なもので、頭がよい上にナイーブな人たちがM1を選ぶ。富田氏しかり、藤森照信氏しかり、中村政人氏しかり(simonも?)。そして、それを超えて建築の実作者たろうとするときに、その反動としてか、手づくりが標榜される。まるで完全な工業製品とセルフビルドの間には何もないかのように。
おまけに、『起爆空間』は、実相寺昭雄氏が監督をしていながらも、封印されてしまった、「ウルトラセブン」第12話「遊星より愛をこめて」の舞台として使われている。この先は、あまりにもオタクな話なのでここではやめておく。

Posted by shinya at December 8, 2004 10:27 AM

無垢で純粋な部類に入るということですね。ふむふむ。建築会館で、U研を囲む会の展示と連続座談も行われているようだし、妙に親近感がわいた機会なので、見に行ってみようかなと思います。手作りが標榜されるズラズラというのが気になりますね。そこに新しさという期待があるというよりも、特殊解にすぎない。に聞こえる。

Posted by simon at December 9, 2004 10:52 PM

↑上のウルトラセブンを見ることができます。しかし『起爆空間』の建ち方がものすごいね。確かに宇宙人の隠れ家に使われるわけだ。
その1 その2 その3

Posted by satohshinya at September 28, 2006 4:58 PM

やっと見れた。
なぜ、封印されたのかもわかりすっきり。
確かにすごい建ち方。異次元だわ。

Posted by simon at October 3, 2006 9:29 PM

封印リンクを読むとシリアスな状況ですね。上記リンクも直に削除かな?
ついでに、ここの話題に登場する怪奇大作戦のリンク。これは欠番になっても致し方ない内容。
その1 その2 その3 予告

Posted by satohshinya at October 4, 2006 5:17 AM

↑上のウルトラセブン、削除されました。合掌。

Posted by satohshinya at October 6, 2006 5:34 AM

最近、回線速度がものすごく遅くて…。やっと見れた狂鬼人間。これはやばいわ。

Posted by simon at October 23, 2006 9:57 PM