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相対的

「MUMI クリテリオム61 嵯峨篤」を見た.確かに展示室の壁を磨き上げた今回の作品には,一種異様な迫力がある.しかし,少し残念なところもあった.
今回は展示室の壁面そのものを磨いた『cube on white』とともに,SCAIでの展示作品が大型化された『MUMI』6点が展示されている.『MUMI』は,MDFにウレタン塗装とアクリルラッカーを磨いたもので,ちょっと何でできているのかわからない美しい作品だ(そして,何が描かれているかもわかりにくい).つまり,ここでの表面磨きの順番は,一般の展示室壁面を併せて考えると,
 MUMI > cube on white > 一般の展示室
となる.しかし,今回のクリテリオムの展示室には,
 MUMI > cube on white
の2つの関係しか存在していない.本来であれば,
 cube on white > 一般の展示室
という関係が,大変に大きな差の「>」であることがポイントになる.しかし,その比較対象物である普通の壁が,同時に視角に入ることがなく,しかも近接していないため,この『cube on white』という作品がどのくらい異常であるかがうまく理解できない.もう1度外に出て,廊下の壁面と比較することで,ようやくその異常さに気が付く.それどころか,より完璧な『MUMI』が展示されていることにより,
 MUMI > cube on white
の「>」が大きな差と感じられるため,
 cube on white > 一般の展示室
の「>」がそれほど大きな差ではないように思えてしまう.それが少し残念だった.更に残念なことに,写真ではほとんどその作品が理解できない.本当にバカバカしいほどの労力による,鬼気迫るインスタレーションである.

水戸芸術館現代美術センター学芸員である森司氏のblogでは,『cube on white』のその後や,続くアーキグラム展の展示壁面の施工(嵯峨氏監修)の様子も見ることができる.更にこのblogは,今日(1月19日)の「朝日新聞」夕刊にまで紹介されていた.

美術 | Posted by satohshinya at January 19, 2005 23:47 | Comments (2) | TrackBack (0)

Mトレ@湯島もみじ

中村政人さんから連絡です.
下記の予定で「湯島もみじのMトレ2005/01」を行います.参加希望者の方はこちらまで連絡願います.どなたでも参加可能です.

[湯島もみじのMトレ2005/01]
場所:文京区湯島
作業期日:1月16日(日)〜20日(木)
時間:9時〜18時
作業内容:壁,天井制作など
条件:昼食付き.作業着持参.
半日,一日だけ参加できる人でもOKです.

湯島もみじについてはこちらをご覧ください.ダイアリーで過去の施工状況も見ることができます.
その他,「JA」53号「Renovation Forum」に取り上げられています.

Mトレとは…….
《「ワークショップ」とはちょと違う.そんな中から「Mトレ」という言葉は生まれました.特に意味のない!?「M」と「トレーニング」の略「トレ」との造語.
この場では,中村政人やこのプロジェクト「湯島もみじ」を中心に「現場」という状況を体験できる機会を継続的に展開していく予定です.
これら作業プロセスを自分たち自身で体験することにより, それを1つの学習の場ととらえ, 建築や美術,社会について考えるきっかけとなることを目的としています.「現場」という実践的な場で,実際に体を動かすことで,普段,学校の授業などでは体験できないことを何か学んでもらえれば幸いです.
ただ参加するのではなく,自主的なモチベーションでもって「現場」に触れてみたい!! そんなあなたの参加を待っています.》

recommendation | Posted by satohshinya at January 12, 2005 23:09 | TrackBack (0)

三浦基・田原桂一・marcel duchamp・fluxus

『雌鶏の中のナイフ』
青年団リンク・地点の第9回公演.三浦基氏による演出.関連エントリはこちら

「田原桂一 光の彫刻」
ガラスや石灰岩やアルミや布の上に印画した写真作品を展示.

「マルセル・デュシャンと20世紀美術 芸術が裸になった,その後で」
『彼女の独身者たちによる花嫁,さえも(大ガラス)』東京ヴァージョンも展示.

「フルクサス展 芸術から日常へ 」
これほど集められることもほとんどないと思う.まあ,アートの勉強だと思って…….

recommendation | Posted by satohshinya at January 6, 2005 22:08 | TrackBack (0)

クァクァ

quaqua.gif

明けましておめでとうございます.
舞台の美術をやります.ぜひ見に来てください.
作品情報はこちら.上演はこちら.関連エントリはこちら

クァクァとは何かそれは声それは息それはことばしかも異語どんなかベケット・ライブvol.6

ベケット・ライブとはどんなだったかvol.12345つねに声の問題ことばの問題日本語の問題翻訳の問題ベケットのテキスト日本語による肉声化いったいどんなかからだをとおしてたえず挑戦

ベケット・ライブvol.3以降つづいた後期の戯曲きびしい制約今回は趣向をかえる思い切るあいかわらず声の問題ことばの問題いたって真剣でももっと広くもっと自由もっと暴走初心に戻る読むことから始める他人の書いたもと外国語どこまでいくか

今回はクァクァどんなか小説『事の次第』ひどくマイナーほとんど知られず読まれずそんな作品へのベケット・ライブからの回答オマージュちょっと参照「どんなだったかおれ引用するピム以前ピムと一緒ピム以後どんなか三部構成おれ言うそれ聞こえるとおり」舞台上でどうなるかスリーポイントお贈りするベケット・ライブvol.6クァクァ
(テキスト:長島確)

『ベケット・ライブvol.6 クァクァ』

原作 サミュエル・ベケット『どんなか』
演出 阿部初美
ドラマトゥルク 長島確
美術・映像 佐藤慎也
照明 田島佐智子
舞台監督 大島明子

出演 鈴木理江子,井出みな子

主催 スリーポイント

recommendation | Posted by satohshinya at January 1, 2005 8:28 | Comments (5) | TrackBack (1)