場所をつくること

fuji1.jpgfuji2.jpgfuji5.jpgfuji6.jpgfuji3.jpgfuji4.jpg

今、話題の幼稚園をみてきた。立川駅からバスで15分ほどに位置する。園児が500人を越すマンモス幼稚園だ。敷地周囲の既存建物をよけ、中央にサークル上に囲い型の配置となっており、1階に諸室が入り、2階はすべてルーフテラス。また樹木も積極的に残され、何本か建物を貫き一体となっている。

大半は木製建具で覆われ壁の存在は感じられず、建物のファサードというものもない。内部空間はドーナッツをぶつ切りにしただけで、庇下に廊下が走りそれ以上のことは何もしていない。そのためぐるりと歩いていてもどこが何の部屋かということがわかりにくい。良い建築の判断基準は何か?一見、セールスポイントの外観もなければ、見せ場となるインテリアもないように思われるが、この幼稚園ではそれらとはすこし違う魅力が獲得されていると思う。

では、僕か感じた魅力とは何か?、それは建築が作られているというより、場所が生まれているという印象がとてもよいのだ。たまたま子供達の場所が連続して繋がっていったら、真ん中に大きな広場やサークル状のルーフテラスができているという感じだ。それぞれの場所は開放的な建具により、広場や外周沿いにある遊び場や木立などと連続し一体となり、また古い家具や園児たちのおもちゃなどが、新築にありがちな浮いたような感じはなく、日々の園児の活動を引き受けられるタフな建築となっている。ここではマニアックな空間の操作や材料などは使われていない、楕円という幾何学表現が唯一建築的な存在感として力をもち、敷地全体を纏めているのだ。なんともすがすがしい建築。

それにしても見学者の数は凄かった。バスの中で、今日は何かあるんですかと地域のおばあさんにも聞かれたほど。見学会をどこまで開くかと賛否両論はあるが、ここまで多くの人を巻き込む建築家の力もさすがですね。

architecuture | Posted by at 5 14, 2007 11:59


TrackBacks