COLLECTIVE HOUSING (COVER THE ENTIRE SPECTRUM OF HUMAN LIFE) IN YANAKA 社領充

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現在私たちが日常的に見取っている住居集合の,現実態を作り出している条件とは何だろうか.それは空間の高密度利用か導き出された,住居間の最近隣化である.これは,近隣性を超えて否定的たらざるを得ない密着位相を生み出している.そして,この際に前提とされているのは,各々の住居は,他の隣接する住居に超境してはならない,という常識的な所有と占有のルールである.この占有のルールに依拠するかぎり,住居集合をなす個々の住居を密着の位相から引き離すことは非常に困難である.個々の位相から引き離すことは,空間の高度利用という都市的命題に反するからである.一つの居住単位が一つの住居に一対一対応している,という相互不加入性を変えない限り,住居集合はいつまでもこの位相にとどまることになる.この現在の相互不加入性を相互浸透,集合と離散の同時体現という住居集合としたらどうだろうか.近接性に対する離散性は,距離によって定義することが出来る相互浸透も距離によって定義することが出来るのではないだろうか.これには近さと遠さが,同時に存在しているようなモデルが,求められるのではないだろうか.空間の増幅ではなしに,住居の中に距離を組み込むことの方が重要となってくるのである.住居を距離化するのだ.ただし,この距離化は,個々の居住における私的な空間増幅へと転化されないようにされなければならない.そうなれば,それは占有という前提を強化することにしかならないからである.住居に距離を含みこませる事は,すなわち住居の単一性を溶解させることに結びついてくる.

2002年度, 卒業設計, 4年 | Posted by tkmy at November 9, 2002 0:00


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